大手広告代理店の電通の社員だった高橋まつりさん(当時24歳)が昨年12月に過労自殺し、長時間労働による精神障害が原因と労災認定された問題で、東京労働局富田労働基準監督署は14日、労基法に基づき、電通本社(東京都港区)に立ち入り調査を行いました。違法な長時間労働が会社全体で常態化していた可能性があるとみて調べる方針だそうです。立ち入り調査は、高橋さんが勤務していた本社だけでなく、同日までに関西支社(大阪市)などでも行われました。厚労省によると、問題のあった事業所以外にも調査をするのは異例だそうです。
本社では語午後1時からおよそ3時間半、東京労働局の「過重労働撲滅特別対策班」のメンバー8人が「臨検」と呼ばれる調査を行い、提出された労務管理に関するデータなどを持ち帰ったそうです。内容を精査し、違反が見つかれば是正勧告(行政指導)を行い、悪質性が高いと判断した場合には労基法違反での書類送検も検討するということです。
遺族側の話によると、電通は、時間外労働を月に70時間とする同法の「36(三六)協定」を労使で結んでいましたが、三田労基署は高橋さんが精神障害発症一か月前の時間外労働が105時間に達していたと認定しました。代理人の弁護士によると、高橋さんは上司の指示で、「勤務時間報告書」に実際の時間外労働時間よりも少ない69.5~69.9時間と入力していたそうです。
電通は「全面的に調査に協力をしていく」とコメントしています。
この電通では、1991年にも若い社員が過労自殺をしており、二度と同じ悲劇を繰り返さないと言っていたということですが、なぜ同じ悲劇が繰り返されてしまったのか、しっかりと考えていく必要があるように思います。
私も長くサラリーマンをしていますが、この事件を振り返ってみて思うのが、日本の企業風土に、いまだに働くことはいいことだっていう根強い意識があるのではないかと思います。月に70時間の残業というと、一か月の間、毎日休まずに働いても2時間以上の残業になるわけで、異常な働かせ方だといえるのではないかと思います。