遺族によりますと、男性は1995年に正社員として雇われたそうです。2011年11月から志木柏町店で働き始めたそうです。男性は「チーフ」という立場で、一般食品の発注や棚卸、在庫管理、価格付けなどの仕事をしていたそうです。管理職ではなかったということです。
男性は2014年5月25日16時ごろ、店舗で勤務中にろれつが回らなくなり、体調不良で救急搬送されたそうです。いったん入院していたそうなんですが、6月2日に仕事に復帰したそうです。
そして6月5日、8時14分から19時11分まで勤務し、店舗を出た直後、駐車場で倒れているところを客に発見されたそうです。雨の中、大きないびきをかきながら痙攣していて、周囲の呼びかけにも応じなかったということです。
では過労死はどうやって認定されたんでしょうか。
今回の事件では、タイムカードの出勤記録に加えて、閉店作業のシートと店舗のセキュリティー記録が残っていたそうです。これが決定的な証拠となったそうです。
例えば、発症前の5月19日の男性の出勤記録は7時40分から18時30分となっていたそうですが、男性は23時13分に閉店作業を担当したことになっていたそうです。「退勤」後もサービス残業をしていた可能性が高いということが推測されます。
弁護側の指摘に基づいて、労基署が改めて調査した結果によると、時間外労働は発症前4か月目には96時間35分。発症前4か月平均で75時間53分だったと認定されたそうです。そのほかにも、「日・時間が特定できない労働時間がある」と推定し、過労死を認定したそうです。
弁護士は労働時間はもっと多いはずだとみています。
遺族側代理人の弁護士は「私たちが探偵のような調査をして、ようやく出てきたのがこの時間です。これがすべての労働時間だったとは考えていません」と述べ、本来の時間はもっと多いはずだと強調しています。
従業員は本来よりも早く出勤し、シフト上の時間が来るまでは記録をつけずに働いていたそうです。働いている間にうっかり打刻を忘れないために目覚ましアラームをセットしていたということです。
嶋崎弁護士は、国の働き方改革で、労働時間の上限規制が話し合われていますが、企業に労働時間を記録する義務を課さなければ、そうしたルールも絵に描いた餅になってしまうと指摘しています。
遺族側は、会社側に1億5000万円の損害賠償や謝罪、職場環境の改善を求めて交渉を申し込んだそうです。
遺族は弁護士を通じてコメントを発表しました。
『年に数回の規制で話を聞く限り、連日に及ぶ異常な長時間労働に従事していたことは明らかでした。突然自分の家族を亡くした悲しみは深まり、今も心の傷が癒えません。違法な長時間労働を目的にタイムカードを強制的に打刻させた後に、サービス残業を強要させるなどの違法行為は、過労死遺族として猛烈な怒りを感じます。いなげやさん、長時間労働を命令したのは誰ですか?まさか死ぬとは思わなかったですか?また影が絵のない命が奪われないよう過労死は私たちの家族が最後であってほしい』
取材に対していなげやは「調べてからコメントする」と回答したそうです。
電通の新入社員だった、高橋まつりさんが過労のため自殺してしまった事件でも同様ですが、違法な長時間労働がまかり通る企業風土ってどうなんでしょうか。こういう企業事件が起こると、その会社の信用は失墜し、ひいては売り上げが減少し、大きな影響が出ます。誰もこのような店でものを買いたいとは思わないですよね。従業員を過労死させる企業の経営者は、自分が一度現場に出て従業員と同じ目線で仕事をしてみたらいいんですよ。そしたら、従業員に対して、いかに過重な負担を強いているか、実感できるんじゃないでしょうか。電通の事件にしても、いなげやの事件にしても、根っこにあるものは同じだと思います。そう、従業員を働くロボットとしか見ていないという共通の根っこが。ロボットなら故障すれば、修理するか、新しいロボットと交換すればいいでしょうけど、従業員の命は一度失ったら二度と帰ってきません。
会社は調べてからコメントすると回答していますが、この期に及んで一体何をどう調べるというんでしょうか。この男性に何か落ち度があったとでもいうのでしょうか。
従業員の命を、そこら辺に落ちている石ころみたいにしか思っていない経営側には、大した問題じゃないんでしょうね…。病気になるまで働いたやつが悪いという事なんでしょうか。殺人事件として、警察に介入してもらってもいいような事案だと私は思います。