sakura542gouのブログ

日々思うこと色々書いてます。今年は空と結婚し、新たな生活が始まりました。

昨日のETV特集を見て

 皆さんは、今から20年前に起きた、とある中学生の自殺事件を覚えておられますか?愛知県西尾市の市立中学校に通っていた大河内清輝君(当時13歳)がいじめを苦にして自殺した事件。その清輝君のお父さんが取り組んでこられた命の対話についての放送でした。清輝君が自殺した当初、学校側はいじめを認めず、『調査中』という回答を繰り返すだけでした。そこで清輝君のお父さんは、清輝君自身が書いた遺書を学校に見せて、事実関係を問うたそうですが、学校側は曖昧な返事を繰り返すだけだったといいます。そしてお父さんは「なぜ自分の息子は、何も相談しなかったのか?」ということを考え、相談しにくい問題があったのではないかとも考えたそうです。
 清輝君が自殺した翌日、同級生の保護者から『いじめが原因ではないか』といわれ、学校に問いただしたのもかかわらず『調査中』という回答を繰り返す学校側に対して、清輝君のお父さんは地元新聞社に清輝君が書いた遺書を掲載し、それがこの事件が大きく動くきっかけになったそうです。学校で清輝君の身に何が起こっていたのか、次第にその詳細が明らかになってきて、その凄惨ないじめの実態が浮かび上がってきました。清輝君のお父さんは加害少年を自宅に呼び、なぜ自分の息子に危害を加えたのか尋ねたそうです。加害者の一人が「いじめるのが面白かった」と答えたそうです。いじめの主な内容は、加害少年たち4人が、遊ぶ金欲しさに清輝君を恐喝して金を持ってこさせ、金の工面ができなかったら、殴る蹴るの暴行を加えていたそうです。清輝君は両親の財布からお金を抜き取ると、自分がいじめられているのがばれると思って、祖母の財布からお金を抜き取っていたそうです。そして、要求される金額は次第に大きくなり、結果的に110万円以上のお金を脅し取られていたということです。

大河内さんが、清輝君の遺書を掲載し、全国的に大きく報道されると、全国からいじめの被害にあっている子供たちからの手紙が届くようになったそうです。大河内さんの手元に届いた手紙は1000通以上。そのほとんどがいじめの被害にあっていることをだれにも相談できずに苦しんでいるというものでした。

ここでみなさんは一つ疑問に思われることがあるかもしれません。なぜまわりの家族や学校の先生や大人に相談できないのか?それは何故だか分かりますか?これは私の経験からなんですが、まずはいじめの被害にあっている子供たちの誰もが、みんな心優しい家族思い・友達思い・先生思いな子供たちなんです。そんな家族や周りの友達や先生に心配をかけたくない。自分一人が我慢して耐えていればいいんだという思いがあるからです。そしていじめられている自分が悪いんだ・いじめられている自分が恥ずかしいんだという思いもあります。それともう一つ大きな理由が、誰かに相談して、もしそのことが加害者にばれると、さらなる報復が待ち受けているということ。私の場合、いじめられているのを打ち明けたのが小学6年生の2学期の始業式の日でした。先生に自分が今までされてきたことを全部話して、先生は烈火のごとく、加害者のことを叱り飛ばし、二度としないということを言わせて、私自身もこれでいじめから解放されると思っていたんですが、実際に待ち受けていたのはさらなる報復でした。それが少し前に書いた11月の自殺未遂事件につながっていくわけです。私は虐めについて思うのが、いくら大学教授がいじめはいけない・いじめる側の心理についてどうのこうの話すよりも、実際にいじめの被害にあって苦しんだ経験のある私が自分の過去をさらけ出して、いじめはなぜいけないのかという発信をしていく。或いは、いじめを苦にして自殺して逝った子供たちの遺族がどういう思いでいるのかを発信していくことが大切なのではないかと思います。
 私自身自分がいじめられた経験を話したり、こうやって書き込みをするというのは、つらい過去を思い出さなくてはいけないので、自分の過去のつらい体験がフラッシュバックのように頭の中によみがえるので、非常に精神的にもつらいことなんですが、こうやって実際に経験した私自身がいじめはいけないことなんだということを発信していくことで、少しでもいじめを防ぐことができればいいなという思いで書き込みをしています。
 最後に今、いじめに苦しんでいる全国の子供たちへ。あなたは決して弱い人間なんかじゃありません。心が強いからつらいいじめにも一生懸命耐えることができたんですよ。でもね、つらいことがあったら少しだけ、心を休めてください。そしてまわりの誰かを頼ってください。本当に弱いのは、いじめに加わっている加害者のほうなんです。誰かをいじめていないと、自分がやられてしまうんじゃないかと思っているんです。いじめに加わっている仲間は、仲がいいように見えて、上っ面だけの友達なんです。そんなのは友達なんかではありません。あなたにも心の底から信頼できるご両親や、親友、先生方がおられると思います。そういう人たちに頼ってみてください。
 それともう一つ「これだけは絶対誰にも負けねーぞ」というものを持ってみてください。どんなことでもいいので、自分が夢中になれるものを一つでいいので持ってみてください。それがあなたの強みになります。そして、自分に誇りを持てるようになります。どうか自分自身に誇りと自信を持ってください。
 
清輝君事件は、あまりにひどいいじめだったので、私もよく覚えています。そしてそのあとも繰り返し起こる凄惨ないじめ。どうやったら子供たちの人権を守れるのか、真剣に考えて行こうと思う私です。私自身高校生と中学生の二人の子供の父親ですから。もし自分の子供がいじめの被害者になったら、どう対応しなければいけないのか、そして、次男に会うたびに、次男がいじめにあっていないか、少しおかしなところ・いつもと違う様子やそぶりを見せないか、見て行こうと思います。

※大河内清輝君の遺書が全文公開されています。なぜ彼が死を覚悟するようになったのか、家族への思いやいじめについての記述が詳しく書かれています。ぜひ一度読んであげてください。そして旅立って逝った清輝君の心に寄り添ってあげてください。