トランプ政権は2日、今後5~10年の核戦略の指針となる「核体制見直し(NPR)」を公表しました。新型の小型核兵器と核巡航ミサイルを導入することを明らかにしました核兵器以外による攻撃に対して核兵器で反撃する可能性があることにも言及し、使用条件を事実上緩和。「核無き世界」を掲げたオバマ前政権の方針を転換し、核の役割を拡大させる方針です。
NPRの策定はオバマ政権下の2010年4月以来。今回のNPRでは「前回の公表時と比べて、国際安全保障環境は大幅に悪化、世界はより危険になった」と指摘。「ロシアや中国に加えて北朝鮮やイランの核保有の野心や、核を使ったテロは継続的な脅威だ」として、「柔軟かつ多様な核戦力」の必要性を訴えています。具体的には、ロシアが小型核兵器を先制使用した場合などを想定。機動性を高めるため、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)に搭載する小型核弾頭の開発や、オバマ政権が廃止した海上艦船配備型の核巡航ミサイル(SLCM) の再開発に乗り出すとしています。
核兵器使用は、インフラや国民が「非核攻撃」を受けた場合も含むとしており、サイバー攻撃などが念頭にあるものとみられています。トランプ大統領は2日の声明で「NPRで示した戦略はアメリカや同盟国への戦略的非核攻撃に対する抑止力を向上させる」と強調しています。
ロシア通信によりますと、ロシア上院国防安全保障委員会のクリンツェビッチだ1副委員長は「広島・長崎の様な核攻撃を再び許そうとしている。東欧やバルト3国にアメリカが核兵器を配備するなら、すべてを攻撃対象とする」と警告しています。