sakura542gouのブログ

日々思うこと色々書いてます。今年は空と結婚し、新たな生活が始まりました。

「この世界の片隅に」で描かれている世界観

 この前の土曜日、現在劇場公開中の映画「この世界の片隅に」の制作の裏側を追ったドキュメンタリー番組をユーチューブで見ました。
 この物語は昭和19年~20年にかけての広島県呉市を主な舞台に描かれていますが、戦時中という、人々が平和に生きていくことが困難な時代、庶民の生活がどんなものだったのかを忠実に描いています。戦時中であったとしても、そこに普通の人々の生活があったわけで、いろいろな喜怒哀楽があったと思います。主人公のすずが軍港の絵を描いていて憲兵に見つかり、間諜行為として家に連れていかれる所では、憲兵が去った後、家族みんなで涙を流しながら大笑いするシーンがあったり、些細なことから夫婦喧嘩をしたりといった、今の世の中でも、どこにでもあるような生活が描かれています。そこにじわりじわりと忍び寄る戦争の影。ただ、この映画では戦時中とはいえ、おおらかに明るく生き抜いた主人公すずの姿が描かれており、それが観る者を惹きつける最大の要因になっていると結ばれています。
 全般的には戦争という悲惨な殺戮シーンの描写は少なかったですが、きちんと空襲によって奪われる命について、そして、すずが一緒に連れていた姪っ子とともに時限爆弾の爆発に巻き込まれ、姪っ子は命を落とし、自信も右手首から先を失い、原爆投下委によって両親を失うといった、悲劇も描かれており、その対極的な出来事が起こることが、この物語の大きな特徴でもあります。
 私も今まで戦争映画も観てきましたが、今まで見た戦争映画は戦争の悲惨さ・むごさなどが主に描かれており、一般庶民の生活がどんなだったかという語り口は少なかったように思います。戦時中でありながら明るき生き抜くすずの姿に、現代を生きる私にとって、今必要なものは何か?を考えさせられる作品でした。