全国の小中高校・支援学校で2019年度に認知したいじめは前年度比68563件増の61万2496件で過去最多になりました。文科省が22日に問題行動・不登校調査の結果で明らかなになりました。文科省は「積極的に把握しようとする動きが広がったため」と評価しています。被害者の安全が脅かされたり、学校へ通えなくなる「重大事態」は121件増の723件と過去最多を更新し、早期対処しきれていない実態が浮かび上がっています。
調査は毎年、国公私立のすべての小中学校・高校と特別支援学校を対象に実施し、今回は約37000校が対象になりました。いじめ認知件数は小学校が48万4545件(前年度比5万8701件増)・中学校10万6524件(同8820件増)高校1万8352件(同643件増)でした。
学校にいじめの積極的な発見を求める防止対策基本法が施行されて以降、全ての校種で増加傾向が続いています。特に小学校の伸びが大きく、施行前の4倍以上に達しています。文科省は「低年齢の子供たちは社会性が未熟で、ふざけ合いや諍いを起こすことも多い。こうしたものも積極的に報告するようになった結果ではないか」(児童生徒課)と分析しています。
いじめの内容で最も多いのは「からかいや冷やかし、悪口を言われる」の37万9417件で、全体の61.9%を占めた「遊ぶふりをして叩く・蹴る」が13万1232件(21.4%)「仲間はずれ、集団による無視」が8万3671件(13.7%)と続いています。全認知件数に占める解消した割合は83.2%で前年度比1.1ポイント減で、16年度の90.5%から3年連続で低下しました。
重大事態は小学校259件、中学校334件、高校124件、特別支援学校6件で、このうち被害者が不登校になったのは517件。19年度に自殺した児童生徒317人中10人がいじめの問題を抱えていました。
小中学校の不登校は18万1272人(前年度比1万6744人増)で過去最多でした。特に中学校での不登校の割合は3.9%に達し、1学級に1~2人いる計算となります。
文科省は「いじめ重大事態が増えている事は深刻に受け止めている。生徒指導の担当者だけではなく、チームでの初期対応を徹底するとともに、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを拡充し、現場の教員に負担にならないようにしていきたい」としています。
いじめ認知件数が61万件で過去最多…。この調査報告を私たち大人はどう受け止めるべきなんでしょうか。私は自分がいじめ被害に遭った経験者としていえることは、いじめというのは、本当被害者が大切なものをすべて失うまで続く、出口の見えないトンネルの中をさまよっているような感じです。学校ではいじめ被害者に対して、転校を促すようなことを言いますが、転校をしなくてはならないのはいじめ加害者の方であって、被害者に転校を勧めるのは、私にはトカゲのしっぽ切のような感じにしか見えないんですが。
そして、いじめ対策基本法が施行されてから、学校が「積極的に把握する動きが広がったため」と言っていますが、じゃあ、それまでにいじめ被害に遭い、重い後遺障害が残ったり、自殺してしまった子供たちのことはなおざりにしてきたのかっていう気がします。80年代からあれだけ吹き荒れた校内暴力やいじめ問題に、この国が如何に真剣に取り組んでこなかったかを如実に物語っている結果だと思います。児童生徒の命・人権は地球よりも重たい大切なものなんです。その大切な人権が蹂躙されて、時には命の危険にさらされてまで学校に行く必要はありませんが、いじめ加害者に対しては、学校への登校を禁止する・あるいは転校させるなどの厳しい措置が必要だと私は思います。私はこれまで何度も述べてきましたが、いじめ被害に遭って、私自身が大切にしてきたものすべてを失いました。そして残ったのは加害者に対する激しい恨みと憎しみの感情でした。人間、恨みや憎しみの感情を抱きながら生きていくのって、本当に辛いことですし、精神的にしんどい事です。
今、お子さんが学校に通っている保護者の皆さんに伝えたいのは、お子さんが学校での出来事や、交友関係のことについてあまり話さなくなったら、それはいじめのサインかもしれません。お子さんのほんの小さな変化に耳を傾けてあげてください。目を配ってあげてください。
また、学校で実際にじめに苦しんでいる子供たちに伝えたいのは、いじめ加害者のために自殺するなんてもったいないぞ。いじめてる奴らの方が、いじめることでしか自分の強さを表現することのできない哀れな奴なんだから、そんな哀れな奴の為に自分を犠牲にすることなんて絶対にない。今は学校という狭い世界しか見えないと思うけど、世の中、学校だけがすべてなんかじゃない。辛かったり、学校に行くのが苦しかったら、無理をせずに思い切って休んだっていい。勉強は学校以外の所でもできるんだから、生きることを諦めないでほしい。私は子供たちに自分の命と体を大切にしてほしいなと思います。せっかく生まれてきたんだから、たった一度しかない人生、生きていたら絶対いい事があるから、とにかく生きていてほしい。あなたが生きていてくれるだけで、私は嬉しいです。