相模原市の津久井やまゆり園で2016年7月、利用者ら19人を殺害し、26人に重軽傷を負わせたとして、殺人罪などの罪に問われた元同園職員植松聖被告(29)に対して、横浜地裁の裁判員裁判は16日、争点となった被告の刑事責任能力を認めたうえで、求刑通りに死刑を言い渡しました。青沼潔裁判長は「動機に酌量の余地はなく、遺族らが峻烈な処罰感情を示すのも当然で、死刑を持って臨むほかない」と述べました。
判決は、被告が、他の職員が利用者に暴力を振るい、人として扱っていないと感じた経験などを経て「意思疎通ができない重度障碍者は不幸で、家族や周囲も不幸にするような存在と考えるようになった」と指摘しました。事件の動機を「重度障碍者を殺害することで不幸が減り、自分の考えに賛同が得られる。自分が先駆者になれると考えた」と総括しました。
弁護側は公判で心神喪失状態だったとして無罪を主張しました。弁護側が調査を求めた医師は「重度障碍者は不幸を作る」という被告の考えが、「自分が重度障碍者を抹殺する」と理解がし難いものに飛躍したと指摘。短時間で大勢を殺傷したのは驚異的な行動力がなければできないとして大麻の影響を訴えていました。
判決はこの指摘を詳細に検討。「到底是認できない内容とはいえ、思考に病的内容があったとまでは言えない」と述べました。医師が通常ではありえないと訴えた犯行内容も、襲撃したのは抵抗が難しいとみられる人ばかりで驚異的な行動力がなくても実行できたと判断しました。大麻や精神障害の影響を明確に否定し、完全責任能力を認めました。
判決によると、被告は16年7月26日未明、刃物などを持って園に侵入し、入所していた10から70代の男性9人、女性10人を殺害。26人に重軽傷を負わせました。
私としては、この事件の裁判では、真っ当な判断が示されたなという思いがします。何の落ち度もなく、障害を抱えながらも一生懸命生きていた人たちを、植松被告の身勝手極まりない動機によって奪われたんですから、情状酌量の余地もなければ、心神喪失だったわけでもありません。明確な殺意を持ち、自分の判断でそれが正しいと思って大勢の人を次々と刺していって、19人もの尊い命を奪ったんです。
この男の動機を聞いた時、私は障害のある息子のことを完全に否定されたような、息子には生きている価値なんかないと言われたような感じがして、実に大きなショックを受けました。息子だって喜怒哀楽の表情がありますし、息子が嬉しそうな顔をしているときは、私たち家族も暗闇の中にほんの一筋の明かりが見える。それで私たちは十分幸せなんです。この男に障害があるからと言って、障害のある人は不幸を生むだけだと勝手に決めつけて、障害者を殺害して、何が大麻の影響で心神喪失状態で、責任能力が問えないですか。この弁護人はふざけてんのかって言いたいです。私はこの男のやったことも、事件を起こした動機も、差別的な言動も絶対に許せないです。この男の死刑を執行するときは、被害者と同じ数だけ、刃物で突き刺してやればいい。そう思うのは私だけでしょか。