船戸結愛ちゃんが雄大被告から残虐極まりない虐待を受けて亡くなった事件で、保護責任者遺棄致死と傷害罪などに問われた雄大被告(34)に対し、検察側は7日、東京地裁(森下実裁判長)の裁判員裁判で「過酷な虐待を主導した。責任は極めて重い」と述べて懲役18年を求刑しました。弁護側は懲役9年が相当と反論し、結審しました。判決は15日に言い渡される予定です。
検察は論告で、結愛ちゃんの遺体に170か所以上の傷や痣があったことを挙げ、「暴力による身体的虐待があった」と述べました。一家が目黒区で生活を始めた18年1月からは、雄大被告が食事や外出を厳しく制限したとして「終わらない飢えの苦しみを与えた。心理的にも大きな傷を与えた」と指摘しました。
さらに結愛ちゃんは2月下旬に顔が腫れあがるほどの暴行を受け、嘔吐を繰り返したにもかかわらず、虐待の発覚を恐れた雄大被告が、母親の優里被告(27)-1審懲役8年-を従わせ、病院に連れて行かなかったと指摘。3月2日に亡くなった結愛ちゃんの生命の危険を、雄大被告が前日まで気づかなかったことに対し「逃げや自己保身からの弁解だ」と非難しました。
結愛ちゃんが書き残した「もうおねがい ゆるしてください」とのメッセージにも触れ、「許してもらえない過酷な状況を物語っている。両親に未来を奪われた無念は十分に考慮されるべきで、被害結果は重大。逃げ場のない被害者を苛め抜いた」と述べました。
弁護側は、痩せ細っていった結愛ちゃんの変化に、普段から接していた雄大被告は気づきにくかったと反論。結愛ちゃんが嘔吐した2月27日からはお粥やバナナを食べさせようとしとし、「死ぬまで完全に放置したわけではない。父親であろうとする気持ちがあった。極端に刑を重くすることを考慮すべきではない」と述べました。
弁護側の主張には無理があると思うのは私だけでしょうか。顔が腫れあがるほどの暴行を加え、嘔吐を繰り返していた時点で、すでに命に危険が迫っていることは容易に想像できたはずで、その時点で病院で適切な治療を受けさせていれば、最悪な結果を招くことを防げたかもしれません。病院に連れて行かなかったのは、虐待が発覚するのを恐れて、ほったらかしにした結果が結愛ちゃんの死亡ということにつながったわけで、2月27日にバナナやお粥を食べさせようとしたとしていますが、もうその時点で食べ物を口にすることすらできなかった状態にあったのは容易に想像できます。
それに普段から接していたから結愛ちゃんの変化に気が付かなかったって、それもおかしな話ですよね。何日もろくにまともな食事を食べさせてもらえない状況であったわけで、がりがりに痩せ細っているというのは、毎日見ているからこそ分かったはずで、結愛ちゃんの変化に気が付かなかったというのは、雄大被告や弁護側の詭弁でしかないと思います。私は雄大被告が結愛ちゃんに対して、「死んでもかまわない」という殺意があったのではないかと思います。でなければ、報道されているような、凄惨な暴力を何の抵抗も出来ない、逃げ出して助けを呼ぶことも出来ないような、幼い子供に加えることはないと思います。
それにしても、これだけ暴力を加えて結愛ちゃんを殺害したのに、雄大被告に課せられた罪は保護責任者遺棄致死罪と、傷害罪なんですね。私はより刑罰の重たい殺人罪が適用されてもいい事件だと思いますが。日本の司法制度は、加害者に手厚く、被害者には冷たい制度になっている…。私はそのように感じます。