sakura542gouのブログ

日々思うこと色々書いてます。今年は空と結婚し、新たな生活が始まりました。

海上自衛隊・いじめ自殺隠蔽10年

 今日の新聞のトップニュースにオバマ大統領来日と同じように大きく取り上げられていたのが、2004年に先輩自衛隊員のいじめが原因で自殺した海上自衛隊員の遺族が損害賠償を求めて起こした裁判の控訴審判決のニュースが取り上げられてました。
 海上自衛隊護衛艦「たちかぜ」の乗組員だった男性(当時21歳)が自殺したのは先輩隊員のいじめが原因だったとして遺族が国と先輩隊員におよそ1億5千万円の賠償を求めた訴訟の控訴審判決が東京高裁であり、いじめについて海自が調査した文書を「国の担当者が隠した」と認定。上官らが「自殺を予見できた」とも認めて、国と加害者に7350万円の支払いを命じる判決を出しました。
 文書は国が一貫して「捨てた」と主張してきましたが、控訴審で現役の三等海佐(46)が隠されていると内部告発。これを受けて国が文書の存在を認めた経緯があるそうです。判決はこれを意図的な隠蔽だったと認定。文書は裁判の判断に影響を及ばす重要な証拠だったと指摘。2011年1月の横浜地裁判決は自殺の因果関係は認めたものの、「上官らが自殺を予見することはできなかった」として、賠償額を440万円にとどめたそうです。今回の判決では男性が事前に自殺をほのめかしていたことから、上司らが適切に対処すれば自殺は回避できたとして、1審が認めなかった死亡に対する賠償を認めて、大幅に増額したそうです。
 男性は2004年10月都内の駅で電車に飛び込み、自殺。先輩隊員を名指しした遺書が見つかったそうです。海自は翌月たちかぜの乗組員全員にアンケートを実施。先輩隊員が男性を殴ったり、エアガンで撃ったりするなどの暴行を加えていたことが判明。海自がこうした行為を自殺と認めず、遺族が2006年4月に提訴。
 遺族は1審前にアンケートの原本の開示を求めたそうですが、海自は「破棄した」と回答。控訴審で三佐が文書の存在を内部告発し、海自が開示したことを受けて、遺族側が「組織的な文書化駆使で精神的苦痛を受けた」として2千万円の賠償請求を追加。国側は意図的な文書隠しは否定していたそうです。
 
この判決の防衛省は適切に対処するというコメントを発表していますが、適切に対処するというのは、責任を認めて、遺族に誠心誠意謝罪し、上告することなく判決を受け止めて7350万円の賠償を滞りなく済ませることだと思います。
 
そしておかしなことに、内部文書を告発した三佐についてですが、告発のため、内部文書を持ち出したとして、懲戒処分を検討されているそうです。なぜ正義のために勇気を出して告発したこの三佐がこのような重い処分を検討されなければならないのでしょうか。処分すべきは、自殺を防げなかった、担当上官と自殺に追いやった自衛隊員でしょう。正義のために告発した三佐が処分されて、担当上官だった人物がぬくぬくと処分を受けずに今までと同じ暮らしができるというのは、あまりにも理不尽すぎます。
 
ご遺族の方は大切な息子さんを失ってからの10年、本当に長かったでしょう。遺族の意向を汲んだ判決が出たので本当によかったですね。これからこのような事態が起こらないことを祈るばかりです。それが国民の命を守る自衛隊員の役割だと思います。国と防衛省はこの判決を無駄にしないでいただきたいです。
 
この内部告発した三佐は8年前、遺族と相対する側にいたそうです。海自が抱える裁判の実務を担当していたそうで、男性の遺族が提訴したあと、情報公開室に呼ばれたそうです。「アンケートは存在しているが、破棄したことになっている」どういうことなのかという疑問は程なく解けたそうです。この裁判用にまとめられたファイルに、アンケートが捨てられずに残っているのを見つけたからだそうで、ファイルは裁判を担当する各部署でコピーして共有していたとの事。誰の目にも触れているのに隠蔽をとがめるものはいなかったそうです。
 
この事実に対して文書の存在を否定し続けてきた自衛隊。あまりにも悪質すぎませんか。なんか臭いものには蓋しろとでもいうようなこの態度は、国家公務員としての倫理意識が明らかに欠如しているのではないかと思います。
教育現場にしろ、国の組織にしろ、民間企業にしろ、こういった不祥事は隠したがるんですよね。隠したって、どこからか情報が漏れて真実が暴かれることがわかっていても、ばれなければ儲けもんみたいな考えが蔓延っているんでしょうか。
 これ以上やったら相手がどうなるかは、容易に想像がつくはずです。やってはいけない一線というものがあるはずです。物の限度ということを考えずにやった結果が、7350万円という重い代償を払うことになったわけです。いじめなんかやったって何の特にもならないということをいい加減私たちは学ぶ必要があるように思います。