先日、松江市の教育委員会が、原爆の恐ろしさや戦争の悲惨さを描いた故中沢啓二さんの漫画、はだしのゲンの閲覧規制を実施と発表しました。なんでも、過激な暴力シーンや性的描写があえるというのが主な理由だそうです。本を読む子供たちの影響を考えて決めたそうですが、私はこの決定に対しては大きな疑問を感じました。はだしのゲンは広島で原爆にあい、大切な家族を失っても、たくましく生き抜く主人公ゲンを中心にした物語で、中には日本軍が行った数々の残虐なシーンや性の奴隷として連れてこられた女子のことなども描かれており、確かに過激な表現が含まれているかもしれません。しかしこの漫画に描かれていることは事実として起こった事であり、決してフィクションの世界ではないはずです。過激なシーンが描かれているから子供たちに見せないというのは、日本が過去に起こした戦争に対して目をそむけることになりはしないでしょうか。私はこの作品を見て、戦争の愚かさや、犠牲になって亡くなって行く一般市民の命のはかなさや、原爆から生き残った人たちがいわれのない差別を受けて苦しんだことを知りました。まさに生きた教科書でした。
