昨年4月、横浜市の雑木林で山口あいりちゃん（当時6歳)が白骨化した遺体で見つかった事件で、死体遺棄と暴行の罪に問われた母親の山口行恵被告（32)に対し、横浜地裁は懲役2年（求刑3年）の実刑判決を言い渡しました。
鬼沢友直裁判長は「虐待された被害者は白骨で発見され、哀れというほかない」と指摘しました。
判決では、行恵被告は一昨年7月21日夜、横浜市南区のアパートで足を踏まれたことに腹を立てて、あいりちゃんの顔を平手で数回叩き、風呂場でシャワーを顔にかけて、その後に同居していた八井隆一受刑者（30)=傷害致死罪などで懲役8年が確定=に蹴られたあいりちゃんが死亡した後、八井受刑者が雑木林に埋める際、携帯電話のライトで穴を照らしたなどとして、死体遺棄の共犯を認定しました。
あいりちゃんは人懐こくて愛されていた。字の練習を頑張っていた。
あいりちゃんは小学校への入学を楽しみにしていたそうです。しかしその夢は叶えられないまま産みの親によって命を絶たれてしまいました。
「お茶やってけよー」
おばあちゃんの口ぶりを真似ては、道行く人に話しかけていたそうです。「あーこは人の輪に入るのが上手かった」。茨城県の実家で5歳まで育てたおじいちゃんはそう話しています。
元夫からの暴力から逃れ、一時実家に戻っていた娘の行恵被告はいつかず、出て行ったそうです。居所の定まらない娘では養育できないと思い、あいりちゃんを預かったそうです。生後10ヶ月でハイハイもできなかったと記事には書かれています。おじいちゃんは右腕を枕代わりにして毎日寝かしつけたといいます。
4歳で保育園に入り、ひらがなの練習を始めて「じいじ」にと書いた手紙を何通もくれたそうです。苦手だった「あ」の字を覚えると、大好物のオムライスに「あいり」とケチャップで得意げに書いて見せていたそうです。
保育園で他の親子を見るうち、月一回会う程度の母への恋しさを募らせていったようです。「ママと一緒に暮らしたい」。2011年6月行恵被告が連れ出したそうで、「行恵がやっと育てる気になった。引き止める理由はない」。おじいちゃんは寂しさを押し殺して送り出したといいます。
小学校入学を控えた12年春、移り住んだ神奈川県秦野市で、あいりちゃんは近所の女性に「小学校に上がるんだ」と楽しそうに話していたといいます。「行かせてあげるから、もうちょっと待って」。行恵被告はそう言い聞かせていたようです。しかし学校に行かせようにも収入がなかったそうで、男性宅を渡り歩いていた時期。3人目を妊娠し、「行政に頼ることも思いつかなかった」。拘置所で面会した記者にそう語ったそうです。入学式のころ、制服に見立てた紺色のスカートを着せるので精一杯。ランドセルは買えなかったそうです。
12年6月から同棲をはじめた八井受刑者は、あいりちゃんに殴る蹴るの暴行を繰り返し、行恵被告も妊娠中の体調不良や育児の苛立ちから躾と称して顔を叩いたりしていたようです。
そんな中でもあいりちゃんは母親をいたわる言葉をノートに書き残していたといいます。
「ママのことだれかたすけてくれないかな。だってママからだわるいのに、がんばっているんだもん。まま、かわいそうだよ」
12年7月、あいりちゃんは八井受刑者の虐待で頭を打って亡くなりました。行恵被告は救急車を呼ばず、遺体を雑木林に埋めたそうです。「あいりはピンクのランドセルで学校行ってるよ」逮捕まで行恵被告は祖父にも嘘をつき続けたそうです。昨年4月に白骨化した遺体が見つかったときも、祖父は信じられなかったそうです。「あーこに顔向けできない」。娘の服役後の身元引受人を断ったそうです。
行恵被告は記者宛に書いた手紙に「あいりがいない辛さにこの先も苦しむと思います。一生背負うことです」。拘置所で毎日写真に手を合わせて謝っているという事だそうです。
この事件は所在不明児が世の中に多数いるということが明るみに出るきっかけとなった事件です。今年5月末現在で全国で2900人もの子供の所在がわからないというのは以前にも書き込みしましたが、あいりちゃんのように虐待を受けている可能性も非常に高いと思います。どうにかして、このような所在不明になっている子供たちが一人でも多く見つかるようにと願うばかりです。
そして、この母親ですが、収入もないのに、どうして妊娠をするようなことをするんでしょうか。そして、自分の娘が虐待を受けているのをどのような気持ちで見ていたんでしょうか。学校に行かせるだけの余裕もないのなら行政機関になぜ相談しなかったのでしょうか。あいりちゃんのこれから先何十年と続いたであろう命に比べると、懲役2年というのは、あまりにも軽すぎませんか。たとえどんな理由があったにせよ、共犯者として、自分の娘の遺体を遺棄するなどというのは絶対許されるべき行為ではないです。自分が育てられないのであれば児童養護施設に預けて、毎日面会に行くなどという方法もあったはずです。子供を産み育てるだけの力がないのに、妊娠するようなことはするなと思う私です
