ボランティアなどに勧誘するチラシを配る人物は後を絶たないそうで、「チラシに書かれた携帯番号に「大学のものです」と電話したら無言で切られた」といったケースも多いとか。「正体を隠した勧誘はだまし討ちに近い」ということだそうです。
大学内の宗教団体にくわしい教授は「思想や信教の自由は尊重すべきだ｣とした上で、狂信的で反社会的な｢カルト宗教」への注意を呼びかけています。カルト宗教とみなせるような団体は、信者に指導者への絶対的忠誠を誓わせ、違法行為に駆り立てたりします。正体を隠して学生の信教心をくすぐる誘い文句で近づき、断りにくい関係にしてから正体を明かすのが大きな特徴です。
統一教会の場合がまさにこれに当てはまり、指導者である文鮮明にたいして絶対的な忠誠を誓わせ、印鑑やほとんどガラクタ同然の壺を高額な値段で販売させたりします。そして正体をなかなか明かさず、相手がもう辞めることはないだろうと判断してから正体を統一教会だと明かすのが一般的な手口です。それらの被害を減らそうと大学側も動いており、横浜国立大学は「目的な不明なサークルなどからイベントの誘いを受けたら連絡先を教えずにきっぱりと断ること」と話しているほか、北海道大学は「主催者の分からない講演会･勉強会には行かないこと」と注意を呼びかけています。早大も新入生向けの広報誌でカルト宗教やマルチ商法などの手口を紹介して注意喚起を行っています。
ここで、カルト宗教にかかわっていると親や周りの人が気づくポイントを書いておきます
①生活時間が突然朝早く･夜遅くなる
③漫画雑誌などを読まなくなる
④タバコや酒を一切口にしなくなる。友達との飲み会なども参加しなくなる。
⑤目にしたことのない書籍がおいてある
⑥親に反抗的･無関心だったのに、急にやさしくなる。「愛してくれて有難う」などの言葉を口頭･メッセージなどで伝えてくる。
このうち①～④までは教義で「魂が汚れる」「時間の無駄使い」などと教え込まれるためで、統一教会の場合、酒は魂が汚れている者が飲むものと教え込まれ、聖酒と称される赤ワイン以外のアルコールの摂取が一切禁止されます。そして親交のあった友人との付き合いもやめるように強要されて、友達づきあいも教団関係者以外の付き合いは極端に少なくなります。
また、⑤については、教団の教えが正しいということを信じ込ませるために教団が持たせるもので、信者を獲得するためのツールにも使われます。統一教会の場合、朝鮮海峡に海底トンネルを掘って日韓を高速鉄道で結ぶということに関する書籍や、極寒のベーリング海峡に橋をかけて世界中を高速道路で結ぶという書籍を読ませて、これがあたかも今必要なことだと思わせて、献金を要求してきます。
⑥についても親を大切にしないと先祖が浮かばれない、先祖の魂が成仏できないということを繰り返し教え込ませて、教団の行っていることが正しいと思わせるためです。
もし、家族の中でカルト宗教に入信しているんじゃないかと不安に思われる人がおられる場合、被害対策家族の会などが結成されている場合もありますので、そういった相談機関に相談されるのがいいかと思います。統一教会の場合、統一教会被害対策家族の会が結成されており、最寄の相談に乗ってくれるところも紹介されています。もし、家族の中でカルト宗教に入信している人がいる場合、いくらやめるようにいっても聞く耳を持たないと思うので、こういった相談機関にまずは相談してください。
また、大学側の警戒が厳しくなった影響もあって、今はターゲットを中高生に向けているとの話もあります。中高生の皆さんも決しておいしい話、うまい話には乗らないで、家族や先生に相談しましょう。出ないと深みにはまってから抜け出すのは本当に大変です。
新たな人生のスタートを切った新入生や若い人がこういったカルト集団の被害にあわないことを心から願っています。
