天文学者チームが19日、地球から40光年先で、近くにある恒星を公転している太陽系外惑星スーパーアースを発見したと発表しました。太陽系外生命体を探索するための観測ターゲットとして最も期待される惑星だそうです。
ゴルディロックス・ゾーンでは、惑星は主星から適度な温度の位置に離れているそうです。そのため、この温暖な領域内の惑星に生命の要素である水が存在すれば、それは固い氷や水蒸気としてではなく、液体として存在できるため、生命存在の可能性が有望視されています。
LHS-1140bの特異性は、その位置で、系外惑星の検出方法の一つに、後世面通過(トランジット)と呼ばれる、惑星が主星の前を横切る際のわずかな減光を観測する方法があります。LHS-1140bの場合、主星の光が明るく、軌道周期はわずか25日で、惑星が地球からほぼ真横から見える位置にあるそうです。
その結果、LHS-1140bのトランジットでは、重要な光の特徴的性質のすべてを詳細に、繰り返し観測することが出来、これは、惑星のサイズや質量、大気の有無などを解明する研究活動において大きなプラスとなるそうです。
イギリスの科学雑誌ネイチャーで発表された論文の研究チームを率いたアメリカハーバード・スミソニアン天体物理学センターのジェーソン・ディットマン氏は「私が数十年間で目にした中で最も心が躍る太陽系外惑星だ」と話しています。
「科学における最大の探求の一つである地球外生命体の存在を探索する目標としては、これ以上適したものは望めないだろう」とも話しています
初期の観測によりますと、LHS-1140bの公転軌道と主星の間の距離は、地球と太陽の距離の1/10で、太陽系の場合、太陽にこれほど近くに惑星があれば、その表面は焦土と化し大気や表層水は全て剝ぎ取られてしまいます。
しかし、赤色矮星は太陽よりはるかに小型で、温度もずっと低く、そのためLHS-1140bに届く主星の光は、地球に降り注ぐ太陽光の半分しかないそうです。
また、初期の観測では、LHS-1140bが誕生したのは50億年前で、地球より5億年早く形成され、直径は地球の1.4倍であることなどが分かっています。
しかし、LHS-1140bの質量は7倍前後で、これは惑星の密度が高いことを意味しています。つまり、LHS-1140bは、ガスで出来た惑星ではなく、高密度の鉄の核を持つ岩石質である可能性が高いことを意味しています。また、近くにある主星の赤色矮星も気象が穏やかで安定していると考えられています。どちらも生命が生存できる環境に必要とされる条件を理論上は満たしていることになります。
しかし、フランス宇宙科学天文台の天文学者、クザビエ・ボンフィル氏は取材に対して、この一握りのリストは興味深い多様性を示し始めていると指摘。「地球以外の宇宙のどこかで生命が発生した可能性のある場所を探す機会が増えつつある」と述べました。
地球以外に生命は存在するのか?人類が古代から抱き続けてきたこの謎に迫る発見ですよね。地球外生命がいるとしたらどんな姿をしているのか、人類とよく似た体をしているのか、どのような環境で暮らしているのかなど、興味が尽きないですよね。
地球外生命は身近なところでも存在する可能性が指摘されています。例えば、木星の4大衛星の一つエウロパ。この衛星は表面を分厚い氷で覆われていますが、惑星探査機による詳しい観測の結果、表面には無数のヒビが生じていることが確認されました。この衛星は、木星の周りを楕円を描きながら公転しており、木星に近づいた時と離れたときによって生じる衛星内部のゆがみが、大量の摩擦熱を産んで、分厚い氷の下には広大な海が広がっていると考えられています。もし海が存在すれば、そこに地球の深海と似たような生命が存在していてもおかしくないわけで、エウロパを探査する探査機の計画もあります。
また、土星の衛星エンケラドスも、分厚い氷におおわれていますが、土星の強い重力によって、内部に摩擦熱が生じて、氷が解けて間欠泉のように噴出している様子が観測されており、こちらも生命が存在する可能性が取りざたされていますし、同じく土星の衛星タイタンにも生命存在の可能性が指摘されています。
いつかはSFの世界ではなく、リアルに地球外生命との交信ができる時代が来るのかもしれませんね。それまで長生きしなくっちゃ。