2013年、東京三鷹市で女子高生(当時18歳)を殺害したとして、殺人罪などの罪に問われた無職、池永・チャールズ・トーマス被告(24歳)に対する懲役22年の実刑判決が8日までに確定しました。差し戻し後の東京高裁判決に対s手検察・被告側がいずれも上告しなかったためです。判決確定を受けて、女子生徒のご両親が心境をつづっています。
長かった裁判を終えて
平成29年2月8日
長かった裁判がようやく終わりました。今回の裁判についての私たちの想いはいろいろあり、いまだ整理できていませんが、その一端を述べさせていただきます。
①量刑の事
被告人池永は懲役22年に決まりました。この計では軽すぎるという私たちの考えは今でも変わりません。
何の落ち度もない娘の命が奪われた犯罪に対して、判決が懲役22年というのは、被害者という立場を離れても、軽すぎるのではないでしょうか。裁判員裁判でありながら、司法の判断は普通の人の良識とはかけ離れている、と私たちは感じています。この間いろいろ考えましたが、その理由の一つは、量刑分布表の問題があり、もう一つは、有期懲役刑の上限が20年である、という点にあると思います。
裁判員裁判では量刑分布表が裁判員に示され、裁判所、検察官、弁護人の三社がこの量刑分布表をベースにしています。文p表は、動機が男女関係、凶器の有無などの検察条件を設定して量刑分布が表になっていると聞いています。個別の事実は表からは全く分かりません。加害者と被害者の関係性は、それぞれの事件で違うにも関わらず、男児関係にあったという一言で、「付き合ったから仕方がない」と被害者に責任の一端を背負わせていると思います。付き合ったことで、刑を軽くするのは、加害者を利するだけで全く不公平です。量刑分布表に裁判員が大きく影響されていると思います。これらの資料に誘導されて判断するというやり方では厳正な裁判とは言えないと思います。
殺人罪の有期懲役の上限は20年です。勇気と無期、死刑の間に隔たりがあります。最初の一審の裁判所は、本件は、住居侵入罪・銃砲刀剣類所持の罪と合わせて有期懲役刑の上限を選択しても22年でした。
②最初の一審の判決について検察官が控訴しなかったこと
最初の第一審で検察官は無期懲役を求刑しながら、懲役22年の判決に対して控訴しませんでした。控訴しなかったため、差し戻し審一審は殺人罪などについて懲役22年に変更することはできなくなりました。被害者の立場を十分に代弁し尊重すべき検察に対しては、たいへん悔しく、残念です。それは自分たちの使命を放棄したとしか思えないからです。
③破棄差し戻しした東京高裁の判決について
驚きと怒りの気持ちが起きました。同時に新たに戦いなおすしか方法がないと思い、児童ポルノ画像配信に関して追起訴するしかないと即時に判断しました。
④被害者参加制度のこと
私たち被害者の意見がどの程度裁判に反映されたかは、本当のところよくわかりません。もっとも、弁護人は懲役15年が相当であると主張していましたから、参加しなければもっと軽い処罰に終わっていたのかもしれません。被害者参加したことは無駄ではなかったという気持ちもあります。
また、差し戻し審の東京高裁が、児童ポルノ画像配信に関する追起訴の経過について、被害者の意向を尊重する判示をされたことは、評価しています。
と書かれています。この事件、発生当初、大きく報道されていましたが、これだけの猟奇的な殺人事件を起こしておきながら、懲役22年というのは、ちょっと軽すぎるんじゃないかと思います。第一、有期刑の上限が20年で、そのあとは無期懲役、そして死刑と日本の刑法ではなっていますが、有期刑の上限と、無期懲役の間には大きな開きがあるというのも、一般市民から見た、正直な感想ですね。