広島市で開催されたG7外相会合。核軍縮などの『広島宣言』を採択して昨日閉幕しました。宣言では核兵器の保有状況の公表などの透明性の向上を、海洋安全保障に関する声明では拠点構築や軍事利用の自制を求めるなどの、中国を念頭にした是正要求が目立ちました。
今回の外相会合で特筆されるべきは、原爆を投下した当事国のアメリカの現職の閣僚である、ケリー国務長官が初めて平和公園を訪れて、原爆資料館を視察した後、当初予定にはなかった原爆ドームを訪れたということでしょう。原爆資料館や原爆ドームを視察して、改めて核兵器の非人道性を思い知らされたのではないかと思います。広島宣言では、広島・長崎の人々が「原爆投下による極めて甚大な壊滅と非人間的な苦難という結末を計家員」したことを指摘しています。アメリカ・フランス・イギリスの核兵器保有国が、核兵器の保有数を明らかにしていることを踏まえて「透明性向上の努力を歓迎する。他国にも同様の行動を求める」と指摘し、名指しはしませんでしたが、中国を念頭に保有数の公表を求めました。被爆地の訪問に関しては「政治指導者やそのほかの訪問者が広島・長崎を訪れ、深く心揺さぶられてきた。ほかの人々が同様に訪問することを希望する」と奨励することを明記しました。議長を務めた岸田外務大臣は11日の記者会見で「宣言は、世界の指導者らに被爆地の訪問を呼びかける内容だ」と語りました。
ケリー国務長官が原爆資料館や原爆ドームを訪問したことで、核兵器廃絶を目指すと宣言したオバマ大統領の広島訪問への期待も高まっていますが、アメリカ国内には「原爆投下は、戦争を早く終結させるために必要だった」という考えが依然根強く残っているといいます。でも、被爆国に住む一国民として世界中の政治指導者に言いたいのは、どんな理由があるにせよ、絶対に核兵器の使用は許されるものではないということ、核兵器と人類は共存でいないということを知ってもらいたいと思います。あの日広島・長崎で起こったことを絶対に世界のどの地域でも起こしてはいけない。長崎を世界で最後の被爆地としなければいけないと思います。