北朝鮮は12日、日本との合意で2014年7月から進めていた日本人拉致被害者の安否などに関する再調査を全面的に中止して、調査を行っている『特別委員会』を解体すると宣言しました。朝鮮中央通信が報じたもので、北朝鮮は、1月の核実験と、7日の長距離弾道ミサイルの発射実験を受け、「日本政府が独自制裁を発表したことに対する措置」としています。
朝鮮中央通信は「日本の挑発的な敵対行為に対する強力な対応措置が続くことになるだろう」と訴え、「重大な結果を生んだ責任は安倍政権が負わなければならない」と主張し、一方的に日本政府に責任を押し付けています。同通信はまた、同委員会の談話として、調査中止の理由について、「安倍政権がすでに解除した制裁措置を元に戻し、追加制裁まで講じたのは、彼らが自ら合意の破棄を公言したことになる」と強調しました。
日朝両政府は14年5月、スウェーデンのストックホルムで行った政府間協議で、拉致被害者の安否などを再調査する特別委員会を設置することで合意。同委員会は「拉致被害者」「行方不明者」「日本人遺骨問題」「残留日本人・日本自配偶者」を調べる4分科会で構成され、日本政府は委員会の設置を受け、北朝鮮に対する独自制裁を一部解除しました。
調査対象は横田めぐみさん(拉致当時13歳)ら未帰国の拉致被害者12人のほか、特定失踪者・日本人遺骨問題が含まれましたが、14年9月、北朝鮮が一方的に結果報告の延期を通告してきました。15年7月には「再延期」とし、北朝鮮は不誠実極まりない対応を繰り返してきました。
日本政府関係者によると、北朝鮮から外交ルートでの通告は来ていないそうです。日本政府高官は12日夜、「拉致調査を継続すべきだという日本政府の立場は変わらない。粘り強く交渉をやるしかない」と話しています。
北朝鮮の核実験・長距離弾道ミサイルの発射実験を受けて日本が独自精査を発動させると発表した時、北朝鮮も何らかの報復措置をとるだろうとは予測していましたが、なぜこのような不誠実極まりない態度をとることができるのか、私には理解できません。拉致された被害者の方たちも次第に高齢化が進み、日本に残された家族はもっと高齢化が進行しています。この問題に残された時間はあまりないというのが実情だろうと思います。その日本側の焦りを利用しようというのが、北朝鮮の意図なんだろうと思いますが、絶対に北朝鮮の口車には乗らないようにお願いしたいものです。あくまでも交渉の主導権は日本側にあるんだということを北朝鮮にわからせないとだめだろうと思います。
そして韓国も独自制裁に踏み切りましたよね。韓国と北朝鮮が合同で運営する開城工業団地から、韓国系企業の撤退が発表されてから、北朝鮮は開城工業団地を軍の統制下に置く対抗措置を取りましたが、これで痛手をこうむるのは北朝鮮ではないかと思います。何しろ北朝鮮が喉から手が出るほど欲しがっている技術支援が受けられなくなりますからね。
