sakura542gouのブログ

日々思うこと色々書いてます。今年は空と結婚し、新たな生活が始まりました。

福知山線脱線事故から15年

 鉄道大好き人間の私としては、鉄道事故に関することはあまり書きたくないんですが、こういった大事故に関することにもきちんと目を向けていかなければいけない・決して事故を風化させてはいけないという思う意で、書き込みしますね。

 この事故は宝塚発、同志社前行きの快速列車(207系車両・7両編成)が、塚口から尼崎に向かって走行中、カーブを曲がり切れずに脱線転覆し、一両目が線路のすぐ隣に立っているマンションの駐車場に突っ込み大破、2両目がマンションの壁のまきつくようにして激突、3両目が進行方向と反対向きに壁に衝突する形で脱線、4両目が下り線に乗り上げる形で脱線し、乗客106人と運転士が死亡し、500人以上の重軽傷者を出す大惨事となった事故ですが、この事故の前に伊丹駅で電車が正規の停止位置で停まることができずにオーバーランして、いったんバックする形でホームに引き返したため、所定の時刻よりも2分ほど遅れて伊丹駅を出発し、その遅れを取り戻そうとしてスピードを出しすぎていたがために起きた事故とされています。そしてこの事故の遠因として挙げられたのが、余裕のないダイヤ設定と、懲罰的な企業風土があったとされています。数分の遅れを出すと、運転業務から外されて、草むしりなどのバツが与えられていたことが大きな問題として指摘されました。JR西日本は稼ぎ頭の関西圏では私鉄との厳しい競争にさらされており、大阪と宝塚の間でも、並行して走る阪急宝塚線との間で、激しい乗客獲得競争が繰り広げられていました。以前は、阪急電鉄の方が圧倒的に有利だったんですが、国鉄が民営化されてからは、増発とスピードアップが行われて、運転本数では阪急電鉄と同等、スピードの面では、線形の改良工事が行われた関係もあって、JRの方が早く大阪に到着できるようになり、さらに乗客獲得を目指そうとして、最高時速が引き上げられて、さらには高性能な新型車両も投入されて、JRの方が次第に有利になっていきました。そして、阪急電鉄の方は「これ以上のスピード競争は安全性を損なう」として、スピードアップからは事実上撤退した後も、更なるスピードアップが行われて、最終的には120㌔での運転となりました。そしてスピードアップが行われるのと引き換えに、走行時間は変わらずに、快速電車の停車駅の増加が行われて、これが結果的に余裕のないダイヤ編成へとつながっていきました。それがあの悪夢のような大事故を引き起こす要因となったわけで、運転士にかかる心理的負担はかなり大きかったと、現役の運転士が証言している通り、この脱線事故を引き起こした運転士もなんとか遅れを取り戻そうと焦っていたのではないかと思います。

 この事故が残した教訓は、人間は必ずヒューマンエラーをするもの。そのエラーに対してどのようにバックアップできる体制が取られているか、それが大事だという事ではないでしょうか。私は、この事故を引き起こした運転士も、会社の経営方針によって殺された被害者だと思っています。

 そして私が何より胸糞悪いと思うのが、この当時JR西日本の会長であった井出氏がいまだに遺族の前に出て、きちんとした謝罪の言葉を述べていないことです。当時、責任ある会長職についていたのであれば、きちんと被害に遭った人やご遺族に対して、きちんとした謝罪の言葉を述べる責任があると思います。私は『あの事故は現場の社員が勝手に起こした事故であって、自分には一切関係ない」と思っているようにしか思えません。